アメリカ留学 コミュニティカレッジ Part 1 ~ 目的によって違う3つのプログラム

      2017/02/28

 

アメリカで『コミュニティカレッジ』というと、公立の2年制の学校になります。日本人はよく『コミカレ』と略します。4年制大学に比べ、費用も安いため、まずはコミュニティカレッジへ行ってから大学に転入する生徒もいっぱいいます。

高校卒業してすぐの若い子達や、社会人、子育てを終わってもう一度資格を取り直したい人など、様々な人がそれぞれの理由で通います。やっぱり20代、30代が多いですが、40代、50代、60代の人もいっぱいいます。特に夜のクラスは仕事が終わってから来る生徒が多いので年齢層が高くなります。何歳でも戻れるこのアメリカのシステムと社会、いいですよね。夢が広がります。

4年制大学よりは小さいですが、クラスも比較的豊富で、朝のクラス、夜のクラスはもちろん、オンラインのクラスもあります。留学生は規則上、1学期に最低12単位必要で、オンラインのクラスは基本1つまでです。

コミュニティカレッジには主に3つのプログラムがあります。

1. 短大卒業プログラム(AA or AS Degree)

2. 4年制大学編入プログラム(University Transfer)

3. Certificate取得プログラム(Certificate of Achievement/Accomplishment)

目的によって選ぶプログラムが変わってきます。今回はこの3つのプログラムについて説明したいと思います。

 

短大卒業プログラム

『短大卒業プログラム』を終了すると、Associate’s Degree(準学士号)が取得できます。専攻によって、AA Degree(Associate of Arts、リベラルアーツ系)か、AS Degree(Associate of Science、理系)に分かれます。

コミュニティカレッジに入る時に、留学生もアメリカの学生もPlacement Test/Assessment Testというのを受けます。英語と数学の2科目で、これは自分が今どれくらいのレベルで、どのクラスから始められるかを決めるためのテストです。

大体の留学生は語学学校から転校してきた後もまだ英語力が低いので、いくつか英語の先修クラスを取ることになります。先修科目を取る分時間がかかるので、人にもよりますが、卒業するのに最低3年くらいはかかります。頑張って1学期にクラスを多めに取って、Summer Session や Winter Session(夏学期や冬学期)も取れば、2年、2年半で卒業することは可能になりますが、クラスが多い分大変になります。

毎学期オファーされないクラス(1年に1回しかないクラス)もあったりするので、過去のクラススケジュールや来学期のクラススケジュールを見比べながら、慎重にクラスを取らなくてはいけません。クラスを一つ取り間違えたり、取り損ねただけで卒業が1年遅れるなんてこともあり得るんです。なのでよっぽど優秀で急がない限りは、3年はかかると見ておいた方がいいかもしれませんね。

どの学校にもCatalogというものがあります。これには学校の MissionとVision指針・方針や将来この学校がどうありたいか)、Academic Requirements(入学のための必要条件)、Degree Requirements(卒業に必要なクラス)、Course Description(クラスの内容の説明)など、学校に関して全部書かれた1冊の本です。今はすべてオンラインで見れます。私が10年前に行った大学のオリエンテーションでは、みんな2cm程あるCatalogをもらって、その場でCatalogの使い方を学びました。

これはカリフォルニア州にある El Camino College の Catalog に載っているこの学校で得られる学位とMajor(専攻)です。こんなにいっぱい専攻あるんですね!!

 

例えば、私は学位は取りませんでしたか、Accounting(会計)を学びました。Accountingは右側のリストに載ってますね。なのでこのAccountingを終了するとAssociate of Science Degreeがもらえます。略してASと呼びます。

次は、もしアメリカで経済を学ぶとします。経済、Economicsは左側のリストにあります。なので、学業終了後にAssociate of Arts Degreeがもらえます。略してAAと呼びます。

ASとAAは、理系か文系かの違いです。この学校はどちらも卒業に60単位必要です。General Education(一般教養)で必要な単位 + Major(自分の専攻)の単位 =60単位あれば卒業です。

これが卒業に必要なクラスのリストです(AAの一部)。

Associate’s Degreeを取った後はOPT(Optional Practical Training)といって、1年間有効な労働許可書を取得しアメリカで働くことが出来ます。もしコミュニティカレッジ終了後に4年制大学へ転校を考えているのであれば、この『短大卒業プログラム』ではなく、『4年制大学編入プログラム』を選びます。

 

 

4年制大学編入プログラム

『4年制大学編入プログラム』は準学士号を取ることは目的とせず、4年制大学に編入するためのプログラムです。同じ州であれば、学校同士が提携を結んでいることが多いので、大体の単位をTransferすることが出来ます。でも州が違うと少し難しくなります。カリキュラムが違ったり、クラスの内容が微妙に違ったりすることが多いので、何単位Transfer出来るかは転入先の学校によって変わってきます。

このプログラムはCatalogに載っている転校に必要なクラスを取り、その必要単位がそろってから4年制大学へ転校します。こちらも最低60単位必要ですが、その60単位の内容が短大卒業プログラムとは全然違うんです。

基本は一般教養のクラスのみ

短大卒業プログラムは、取得する60単位の約半分がGeneral Education、残りの半分が自分のMajorの単位です。

4年制大学転校プログラムでは、基本的に60単位全部、転校先の大学のGeneral Education、一般教養部分に当たるクラスを取ります。そして、自分のMajorのクラスは大学で取ります。

どの大学に編入するかによっても必要なクラスは変わってきます。カリフォルニアは大きく分けてCSU Group(California State University)とUC Group(University of California)に分かれます。

これはCSUへの編入に必要なクラスのリストです(一部)。

 

短大卒業プログラムでは最初の1年が一般教養のクラス、2年目がMajorのクラスですが、4年制大学編入プログラムでは2年間ずっと一般教養のクラスを取ります。もし途中でプログラムを変えるとクラスが無駄になってしまいます。なので、先のことも考えて慎重にプログラムを決める必要があります。もし決められない時は、とりあえずどっちを選んでも使える単位を取ることをおすすめします。

私はコミュニティカレッジで一般教養のクラスを取って、4年制大学に編入するのが一番いいと思います。お金もセーブ出来ますし、一般教養ではそこまで違いは感じられないですし、最終的にはどこの学校を卒業したかが大事だからです。

私が昔行ったカリフォルニア州ロングビーチにあるLong Beach City Collegeからも、何人もあの有名な大学UCLAに転入していきました。当時はUCLAの1/3の生徒がコミュニティカレッジからの編入だと聞いていました。ただUCLAに転入するには、競争率が物凄く高いので、ほぼStraight A(オールA)に近い成績じゃなくてはいけません。ほぼStraight Aでも落ちる人もいっぱいいます。なので何かCampus activityなどをして、プラスアルファがあるといいかも知れません。

私の取ったクラス

私は、Wyoming州にあるCasper CollegeというコミュニティカレッジからLong Beach City Collegeに行き、最終的に4年制のCalifornia State University, Long Beach(カリフォルニア州立大学ロングビーチ校)に転入し卒業しました。私の場合はCasper Collegeにいる時からこの大学に行くんだ!!と決めていたので、Casper Collegeのプログラムなどは一切見ず、転入先の大学のプログラムに沿って単位を取っていきました。州が変わってもTransfer可能な基礎科目のみを主に。州が違うので、Casper CollegeにはCSU編入用のリストはありません。なので、直接CSULBのCatalogを見て、Casper Collegeでどの学校でも授業内容がほぼ一緒の、安全なクラスを取りました。

これはCSULBのGeneral EducationのRequirementsです(一部)。私が行った、2005/2006のCatalogです。これを参考にクラスを取りました。

これは私がCasper Collegeで取ったクラスです。ちょっと成績悪いですが、気にしないで下さい・・・

Economics Microeconomics や Macroeconomics、English Composition I、理系の Astronomy や Physics 、 Biologyのクラスなど、無難なクラスを主に取りました。もちろん、それでもTransfer出来なかった単位もあります。でも比較的Basicなクラスばっかりだったのでほとんどの単位をTransfer出来ました。

そして同じカリフォルニア州にあるコミュニティカレッジ(Long Beach City Colle)に行き、さらに確実にtransfer出来る単位を取り、CSULBに転校しました。

この単位は全部大学に持っていけました。そのため、Casper Collegeから直接大学へ行かず、このLong Beach City Collegeへ行ったので。

 

卒業単位にならないESL

ちなみに留学生が大体最初のSemesterに取ることになるESL(English as a Second Language)のクラスや、Englishの下のクラスなどは単位自体はtransfer出来ても、卒業単位としては認められないので気を付けなければなりません。

これは私が最初に行ったMinnesota State University, Mankatoで取ったクラスです。

英語もよくわからなかったので、最初は簡単なクラスばっかりでした。ESLとか。このうちCSULBで使えたクラスは1つだけです。Mathの4単位のみです。他の単位は無駄になっちゃったんですよね・・・・でもESLはPlacement Testの結果、そのクラスから取らなくちゃいけなかったので、私には必須だったんですよね。でも卒業には使えないんです・・・・

留学生はスケジュールを決める際に、カウンセラーに会って一緒にどのクラスを取るか決めます。カウンセラーがちゃんとプログラムに沿って取っているが確認してくれます。中には卒業に全然必要ないクラスもすすめてくるカウンセラーがいます。英語に慣れるため、次のクラスが理解しやすくなるから、などの理由で。でも、それは断ってください!!どうせ卒業単位に使えないのであれば、無駄になるだけです。自分でも専攻に必要なクラスを把握して、無駄なく取っていきましょう!!

 

Certificate取得プログラム

そして3つ目は『Certificate取得プログラム』です。これはAssociate’s Degree取得でもなく、4年制大学へ転校も目的としない、2年制で取れる資格を取るためのプログラムです。Certificateのみという人ももちろんいますが、ほとんどの場合は、もうすでにBachelor’s Degree(学士号)やAssociate’s Degree(準学士号)を持っている人が選ぶプログラムです。ちょっとした専門知識が必要だったり、持っている学位プラス何かが欲しい人が取ります。

私は大人になって、Certificate of Achievement in Accountingを取得しました。Associate’s Degreeのプログラムに比べて、Certificate取得プログラムは、必要な単位が少ないです。

例えば、私のCertificate Achievement in Accountingだと、Certificate 取得に必要なのは27単位でした。

このリストにあるクラスを全部取らなくちゃいけないのですが、厄介なのが、リストの上から4つのクラス、BUS 1A, 1B, 2A, 2Bは順番にしか取れないことです。多くの専攻がこのパターンです。まずBUS 1A: Financial Accounting を取ってから、BUS 1B: Managerial Accountingを取ります。1A を取っていなければ1B は取れないですし、基本的には1A  と1B  を同時に取ることも出来ません。順番を飛ばして勝手にクラスを取ろうとしても、システム上はじかれます。取れないんです。そして、その後もBUS 2A、 BUS 2Bと順番に取ります。

27単位は、単位数だけで言えば、1学期に最低12単位ずつ取って、3学期で終われます。でも、4つのクラスは順番にしか取れないので、単純に計算して、1学期に1つずつ取って、4学期かかります。2年です。しかもBUS 4:Cost Accounting や BUS 5A:Income Tax Accountingは1年に1回しかオファーされないので、気を付けなければなりません。うっかり取り損ねるとまた1年待つ羽目になっちゃうので・・・

歳も取ってきていて2年もかけられない私は、BUS 1Aと1Bを同時に取りたい!! とBusiness DepartmentにPetition(請願書)を出しに行きました。前に行っていた学校でFinancial Accountingのクラスを取ったことがあったんです。残念ながらその学校からの単位はTransfer出来なかったのですが、でも最低知識はあります!!と訴えました。実際にはそんなに知識なんてなかったんですけどね・・・・でもPetitionが通って、最初の学期にBUS 1Aと1Bを同時に取り、3学期で終わらせることが出来ました。ただ私は順番に取るものを同時に取ったので、何が何だかわからず大変でした。そして最後の最後までわからず終了してしまいました・・・ やっぱり順番に取れというのには意味があるんですね。でも、時間を気にしていた私にはこの方法がBestでした。

これがEl Camino CollegeのTranscriptです。Spring Semester 2015にBUS 1AとBUS 1Bを同時に取っています。そしてその後にBUS 2A とBUS 2Bを順番に取って終了しました。

そしてこれは大人になってから自費留学したものです。仕送りをしてもらっていた時とは違って、1回のクラスがいくらかかる、と思うと絶対休めないですし、気合も入ります!!なので成績を見てください!!どうじゃ!!Straight A!!頑張りました!!まあ、一番上のFall Semester 2009も自費留学だったんですけどね・・・Bが2つあります。気合が足りなかったようで・・・

もし時間を気にする場合は私の様にPetitionを出してみることも出来ます。もちろん、どう考えても不可能なリクエストは通りません。でも、例えばこのクラスさえ取れれば今回で卒業出来るんです!!だから取らせてください!!というのは比較的通ります。

Conclusion

大体の留学生は『短大卒業プログラム』か『4年制編入プログラム』を選ぶと思います。自分がこの先どうしたいかによって、選ぶプログラムが違います。もちろん途中で気変わることもあると思います。でも、もしかしたらその時に何十万も無駄にしてしまうかも知れないんです。もちろんそれまでかけてきた時間もです。なるべくならスムーズに行きたいですね。早い段階でどっちにするか決めるためにも、コミュニティカレッジに行くにはどのくらいかかるか、もしプログラムを変えたらどれくらいお金が無駄になるか、知っておく必要があると思います。

次の記事ではコミュニティカレッジにでかかる費用についてお話したいと思います。

 

 

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